作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

「気づきの瞑想」を生きる―タイで出家した日本人僧の物語  (プラユキ・ナラテボー、佼成出版社)

私はこれまで数百冊の仏教書を読んできましたが、この本によって私の仏教観は大きく変わりました。この本の114-115ページで紹介されている「手動瞑想」を実践するだけでも、心の平安に大きな効果があります。123ページの次の言葉からも、たいへん啓発されました。


 元来「念(Sati)」という言葉が宿していたエッセンスは、おそらく中国経由で仏教が日本に伝来するうちに大きな変容が遂げられていったのではないか。文字の構成においては「念」、すなわち「今」の「心」というように、オリジナルのニュアンスの名残がとどめられてはいるものの、その意味合いは、思考や信念をメタレベルで「気づく」という認知意識から、思考や信念そのものへと言わば「俗化」させてしまったのではないだろうか。


 われわれ北伝の仏教しか知らない日本人は、南伝の仏教という濾紙を通して、仏教への思い込みを一度濾過する必要があると強く感じました。なんにしても、これほどすがすがしい書物はめったにありません。