作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

助動詞のはしご

 自分の中で空回りしやすい人は、"助動詞のはしご"の達人です。どういうことかというと、「Aさんは私のことを馬鹿にしているかもしれない→多分馬鹿にしているのだろう→馬鹿にしているに違いない→やっぱり馬鹿にしているんだ」というように、助動詞を"はしご"したあげく、最後は思い込みの世界に沈潜していく名人、というわけです。
 このような人への特効薬は、最初の「かもしれない」のところで、「じゃないかもしれない」と果敢に切り返すことなのです。
 英語のことわざに、Every may be has a may not be. (すべての"かもしれない"は"じゃないかもしれない"を含んでいる)という名文句があります。「明日は雨かもしれない」は自動的に「明日は雨じゃないかもしれない」を含んでいる、という真理を表したことわざです。mayは「フィフティ=フィフティ」を表す助動詞なのです。
 このことわざを応用すると、「Aさんは私を馬鹿にしているかもしれない」は「馬鹿にしていないかもしれない」と同値であり、「Bさんは私の言葉に傷ついたかもしれない」は「傷ついてなんかいないかもしれない」と同値なのです。
 ですから、「失敗したら笑われるかもしれない」は「笑われないかもしれない」と同値だし、「私の評価はがた落ちかもしれない」も「そうならないかもしれない」と同値なのです。
 こんな話があります。
 タレントの勝俣州和さんが、あるバラエティ番組の中でバンジージャンプをすることになっていました。ところが、飛ぶ直前に、その場所で前に事故死した人が出たという話を聞いて怖くなり、カメラがまわっているにもかかわらず、どうしても飛ぶことができませんでした。そこで、別の回に場所を変えて再チャレンジすることになったのですが、その回もできなかった。2度にわたって番組を台無しにしたので、これで自分のタレント生命も終わったと覚悟して泣く泣くスタジオに戻ってみると、「勝俣おもろかったでー」と大受けしていた、というのです。この一事を見ても、人間、失敗したら終わりではないことがわかります。
 それなのに、世の中は「かもしれない」で勝手に迷走し自爆する人であふれているのです。最近、「もったいない」という言葉がはやっていますが、こんな人生こそ「もったいない」の山なのではないでしょうか。
 「ダメかもしれない」と思ったら、すかさず「ダメじゃないかもしれない」と切り返して、不安を中和させてしまいましょう。この「反問法」を覚えてから、私の人生は著しく好転しました。あなたも「煩悶」の人生を一日も早く「反問法」で打開してください。