作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

『ネイティブの子供を手本にすると 英語はすぐ喋れる』(青春新書) 序文

■「音」から「意味」へ

 世の中には何百何千という英語本があふれていますが、この本は、そのどれとも全く違うユニークな視点で書かれました。
 本書のテーマは、「ネイティブの子供たちを手本にして英語を学ぼう」 というものです。このテーマを追求するために、私はネイティブの子供が英語を獲得していく過程を詳しく調べました。
 お腹の中の赤ちゃんは、母親の発する言葉や歌を聞いて育ちます。しかし、羊水の中に浮いた状態の胎児は、ぼんやりと鈍く響く音の流れしか聞くことができません。つまり、クリアな発音の英語を聞いているわけではなく、ぼんやりとしたリズムとして英語を聞いているのです。しかし、胎内にいる間に英語のリズムに浸っていることは、生まれたあとの言語の獲得に決定的な働きをします。
 ぼんやりとした響きだった音のかたまりが、やがてクリアに分節された音の連続に変わり、その音に意味や言葉のルールが乗っかる形で、次第に母語が形成されていくのです。
 赤ちゃんが生まれたのちに最初に経験するのは、胎内で聞いていたリズムが次第に明確な「音」に変わり、その「音」と「意味」が重なり合っていくプロセスです。

 

■母語の獲得と外国語の学習

 このように、ネイティブの母語の獲得の過程をたどっていくと、われわれの英語学習のヒントをたくさん得ることができます。
 まず、第一に肝に銘じなくてはならないのは、子供は「音」だけで言語を獲得する、という事実です。赤ちゃんや幼児は字が読めません。しかし、耳から入る「音」だけで、母語が話せるようになります。字を覚えるのは、そのあとです。言葉の使い方や簡単な文法を、文字ではなく「音」のつながりだけから吸収するのです。
 では、英語を話す過程はどのように発達するのでしょうか。私は、数多くの文献に目を通し、英語を話すプロセスは次の《10段階》を通して発達するのだ、という結論に達しました(この分析が本書の基調になっています)。さっそく私のリサーチ結果をご披露することにしましょう。便宜上、赤ちゃん期→幼児期→子供期、という順序で配列してあります。

1.言葉を発する              (赤ちゃん期)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.自分の意思・欲求を相手に伝える  (幼児期)
3.相手に尋ねる            
4.相手に答える
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.相手に働きかける           (子供期)
6.自分の気持ちを表す         
7.自分について述べる         
8.第三者について語る
9.思う・考える
10.分析する・判断する

 本書は、このネイティブの子供が英語を話せるようになる順番で英語を学ぶとどうなるか、を実践した結果です。もちろん詳しい説明は本文の中でいたします。
 あなたは、これまで学校や本で、さまざまな英語学習法を試してこられたと思います。でも、「子供が英語を話せるようになる順番で学ぶ」のは初めてだと思います。この 《英語「再学習」のプログラム》 は、本書の中核となる第3章で扱います。

以上、同書の序文を抜粋しました。