作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

もう天国ですわ!

――『知的生産のためのすごい!仕事術』 第12章のコーダに加筆――

 私は、10年ほど前、会社を辞める決断をする時に、自分の意志を固めるため、組織からスピンアウトして頑張っている友人たちを毎晩のように歴訪して、彼らの気概にじかに触れて回った。
 ひとことで独立と言っても、職種はさまざまである。編集プロダクションを起業した友人、翻訳オフィスを作っている友人、ベビーシッター会社を人から任され、見事に軌道に乗せた友人、製版会社から印刷会社に移って目覚しい業績を上げている友人......。
 その中に、抜群の成績の販売員だった人が、独立して小さな販売会社を作って活躍しているケースがあった。彼は、私に熱く語ってくれた。
「迷った時は、やってみるのが一番ですよ。迷った時にやめたら、それでおしまいです。でも、やれば必ず結果が残ります」
 私は彼の確信に満ちた言葉に、背中を押された気がした。
 彼は、続けてこんなことも言っていた。
「最近、苦しいってことがないんです。全部自分に返ってくるんですよ。今までは人に使われる身。『ここまでやる必要はないだろう』という所で、知らないうちに自分に歯止めをかけていたんです。しかし、独立してみると、その歯止めがないんですね。自分のお客さんのため、とことんやってしまう。すると、それがまた、めぐりめぐっていい形になって自分に返ってくるんです。もう、天国ですわ!」
 これ以上何も付け加える必要はないだろう。次の言葉を噛みしめながら、筆を置くことにしよう。

 迷ってやめたら、何も残らない。
 やれば必ず結果が残る。

 これは、私の独立十年を支え続けた言葉である。持つべきものは友達だとつくづく思う。
 彼のこの言葉を聞いて以来、私は迷ったらあえてやるようにしている。やらなければ、迷ったという事実が残るだけだもの。

     *『知的生産のためのすごい!仕事術』(青春出版社)は6月1日刊行予定です。