作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(28)ノーベル平和賞受賞演説から


■■■reconcile■■■  reconcileは「なんとか折り合いをつける」

私たちの課題の一つは、一見相反する二つの真実を調和させることです。
So part of our challenge is reconciling these two seemingly inreconcilable truths.

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二つの側面を抱えて歩み続ける

 オバマは「一見相反する二つの真実」について、戦争が「時として必要なもの(sometimes necessary)」であり、同時に「ある意味で人間の愚かさの表れ(at some level is an expression of human folly)」であると説明する。
 reconcileは「和解させる」という意味。論理的につじつまを合わせるというより、「なんとか折り合いをつける」ニュアンスがある。また、inreconcilableは、in-+reconcile+-ableで、接頭辞と接尾辞に挟まれるreconcileというふうに分解できる。「in-」は否定を表す接頭辞であり、「-able」は可能であることを表す接尾辞。つまり、「和解・でき・ない(二つの真実)」ということになる。
 一見、対立するように見える戦争の二つの側面はともに真実なのだ。このことを指摘しただけでも、これまでになかった新しい平和論となっている。さらに、このあとオバマは、二つの側面を共存させるというチャレンジングな道を具体的に示していくのである。


■■■govern■■■  governは「権威的な力でコントロールする」

私は信じています。すべての国は、武力行使を抑制するための基準を固守しなくてはなりません。
I believe that all nations must adhere to standards that govern the use of force.

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武力行使の暴走をシャットアウトする

 夢として望むだけではなく平和をほんとうに手に入れる道を具体的に探るにあたって、オバマは、ケネディが1963年、キューバ危機の年におこなった演説「平和のための戦略(The Strategy of Peace)」を引用している。「急激な革命によるのではなく、ゆるやかに制度を変革して実現できる、実際的で、実現可能な平和に焦点を当てよう」。では、それはどんなものなのか? そのための方策は何か?
 筆頭にあげられるポイントが、左ページの文である。governのもとの意味は「船のかじを取る」。ふつう「政治的に支配する、統治する」意味で使われ、government「政府」のもととなっている動詞だ。ここで支配・統治する対象は「武力行使」(the use of force)、支配するのは、人間のつくる「基準」(standards)である。権威的な力をもった基準によって武力行使をコントロールするというわけだ。
 武力は行使すると暴走しがちであることをよくよく踏まえ、その可能性をシャットアウトすることが、オバマが考える夢の実現の第一歩なのである。

                                *次回で「オバマ的英単語」は完結します。