作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(25)核廃絶演説から


■■■build■■■  buildは「必要な材料と技術を計画どおりに積み上げる」イメージ

われわれはまた、闇市場を解体するためにも努力しなければなりません。
We must also build on our efforts to break up black markets.

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仕上がりのイメージがあるから

 オバマは核兵器廃絶を唱え、実現のための具体的な方策を順序立てて説明する。すなわち、「核兵器保有数の削減と核実験の禁止、核不拡散体制の整備とルールに違反した者への対応、テロリストが入手する可能性の排除」などだ。左ページの「闇市場」は、テロリストへの入手経路との関連で出てくる。
 ここでオバマは、「努力する」ということを表すために、make effortsではなく、build on effortsを使っている。buildは言うまでもなく「(建物を)建てる」意だ。何かを建築する時には、地盤を調査し、土台を固め、計画的に作業を進める必要がある。何よりでき上がったときのイメージがはっきりしていなければならない。その、仕上がりに向けて緻密な計画に基づき、必要な材料と技術を積み上げていくイメージが、長い道のりにおける努力のあり方を聞き手に伝えるのである。buildはヴァンスの「パワー英単語」にも「建設的なイメージが表現できる」語としてノミネートされている。


■■■bridge■■■  bridgeは「二つの間をつなぐ」もの

私たちの間にある溝に橋をかけ、その上に希望を掲げましょう。
Let us bridge our divisions, build upon our hopes.

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溝を越えて大きな目的に向かう

 この章の最初、divideの項で、オバマが過去から現在に至る「分裂」を意識して取り上げ、「divideからuniteへの方向転換」を印象づけようとしていることを書いた。その部分と対応するのが、演説の最後に述べられたこの部分である。
 bridgeは動詞だと「橋をかける」意味だが、比喩的に「二つのものの間をつなぐ、橋渡しをする」の意味で使われる。核兵器をはじめとする武力に関する考え方や力の強弱は、各国さまざまだ。しかし、平和で安定した豊かさを望む気持ちは世界共通である。相違を了解した上で、溝を越え、大きな目的に向かって力を合わせて努力していくイメージを、bridgeはじゅうぶんに伝えている。
 そしてオバマは力をこめて言う。「この世界をこれまでよりもっと豊かで安全にする責任を引き受けよう。力を合わせればできる(Together we can do it.)」。会場は再び拍手と喝采の渦に巻き込まれた。