作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(24)核廃絶演説から


■■■stage■■■  set the stageは「舞台をセットする→次の段階の準備をする」

そしてこれが、さらなる削減への道を開いてくれるでしょう。
And this will set the stage for further cuts.

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物語の先へと続く舞台

 「これ」とは、ロシアとの間で進めている、戦略核兵器削減交渉における合意のことである。この演説が行われた2009年4月時点で、すでにオバマはロシアのメドベージェフ大統領との間で交渉を始めており、3か月後には合意が成立した。
 stageには「舞台、ステージ」のほか、「段階、時期」の意味がある。
 We have entered the final stage of the plan.
 (私たちは計画の最終段階に入った)
 set the stageは、「舞台をセットする」→「次の段階の準備をする」となる。日本語でも、準備段階にあることを比喩的に「(活躍などの)舞台を用意する」と言う。それにしても、核廃絶という物語の終わりまで、いくつの舞台があるのだろう。
 また、cutはここでは「(核兵器)削減」を表すが、この使い方は、ヴァンスの「パワー英単語」でLevel 1の筆頭に挙げられ、同じ意味を表すdecrease、reduceなどよりも「エネルギーと決断力が増す」言葉とされている。

■■■must■■■  mustの繰り返しで、断固たる態度を表す

ルールは守られなければなりません。それを破る者は罰を受けなければなりません。言葉がちゃんと意味を持たなければなりません。
Rules must be binding. Violations must be punished. Words must mean something.

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ルールは破られるもの?

 ここで、オバマの口調は厳しさを増す。「核廃絶は世界中の人々の理想である。なんとしても実現しなければならない。そのためには世界共通のルールが必要だ。しかし、ルールを守らないものが出てくるだろう。破ったものはかならずその代償を払わなければならない」と言うのである。
 他国がルールを破るのを「仕方がない」としない断固たる態度が、mustの繰り返しによって表されている。聴衆はmustが増えるごとに身の引き締まる思いだったのではないだろうか。
 オバマが現実主義者だと思うのは、人は過ちを犯すものだし、ルールは破られるものだと考えるところだ。自分が守るからといって、他人も守るとは限らない。オバマにとって言葉が意味をもつ(words mean something)とは、「ルールが守られる」ということより、「破ったときにその報いがある」ということなのだ。オバマの本気が見える。