作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(22)核廃絶演説から


■■■our■■■  ourを繰り返すことで、すべての人に関係あると訴える

その影響は、われわれの地球の安全、われわれの安全保障、われわれの経済、そしてわれわれが最終的に生き残ることができるかにまで及ぶでしょう。
The consequences might be for our global safety, our security, our economy, to our ultimate survival.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

特別の意味を込めたour

 「その影響」とは何か。少し前に、「たった一発の核兵器がある都市で爆発したとしたら、何十万人もの人々が亡くなる。さらにそれがどこで起こったとしても、その被害に終わりはなく、その影響は......」とある。だからこれはすべての人に関係があり、この問題に無関心でいられる人などこの地球上にいないはずだということをオバマは訴えるのである。
 この気持ちがここで挙げた例文のourの繰り返しにつながっている。意味は同じでも、our global safety, security...と並べただけでは、必死さを伝えることはできなかったのだ。
 ほとんどの場合主語にIではなくweを使い、ourを多用するオバマの演説の中でも、意識して特別の意味を込めたourだったと言える。
 世界中の核兵器を集めると、確認されているだけで約3万発になる。これを廃絶するのがむずかしいことは誰にでもわかる。こうなってしまった以上、ゼロにするのは理想論だという意見もあるだろう。けれども、オバマは「不可能だ」と言われても決してあきらめない。それが政治家としてのポーズでなく信念であることを伝えるために、周到に言葉を選ぶのである。この上なくシンプルな単語を用いて。


■■■stand■■■  standは「向かい風に負けないように立つ」イメージ

世界中のすべての人々が恐怖から解放されて暮らす権利のために、ともに立ち向かわなければいけません。
we must stand together for the right of people everywhere to live free from fear.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「しっかり立つ」と「がまんする」

 standは「立つ」という意味だが、ここでは「地に両足をつけて(ともに)しっかりと立ち、少しも揺るがない」ことを示している。standは、この意味が転じて「耐える、がまんする」意味を表すこともある。つまり立ち向かう相手が手強く、向かい風に負けないように立つようなイメージである。
 おもしろいことに、この演説では、別の意味でstandが使われているところがある。
 Our generation cannot stand still. We, too, have a choice to make.
 (我々の世代は何もせずに手をこまねいているわけにはいきません。我々にもまた決断の時が来ているのです)
 That means resisting the walls of protectionism that stand in the way of growth.
(それは成長をじゃまする保護主義の壁に抵抗することです)
 同じstandでも、なんといろいろなことを表現できることだろう。しかも、オバマは、ここにあげた例文以降は、一貫して「逆境に負けずに立つ」の意味で使って混同のないようにしているのである。