作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(21)核廃絶演説から


■■■erase■■■  eraseが日常語だから、余計に理不尽さが増す

たった一度の閃光によってこの世界が消滅してしまうということもあり得るのです。
The world could be erased in a single flash of light.

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データを消すように世界が消える!

 いよいよこの演説の目玉である「核兵器廃絶」の話にさしかかるくだりで、左の例文が登場する。
 eraseは「(消しゴムで)消す」意味で、eraserは「消しゴム、黒板消し」である。コンピュータからデータを削除する場合にもeraseが使われる。
 オバマは、たった一発の核兵器の「ピカ」によって世界が消滅してしまう可能性を表すのに、eraseという動詞を使った。消しゴムで消すかのように、ボタン一つでデータを消去するかのように、長い年月をかけて築かれてきた街も文化も生活も消えてしまう。あえて日常的な語を使うからこそ、一瞬の暴力の無情さが、人々の心の奥深くまでしみ通るのだ。ふつう「消えてなくなる」意味を表すextinct、vanish、disappearなどよりも、ずっと暴力の理不尽さが伝わってくる。


■■■center■■■  centerは「まさにど真ん中」

ルールを破る国や人々が増えれば、中心点を維持できなくなる時期が来るかもしれません。
As more people and nations break the rules, we could reach the point where the center cannot hold.

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「真ん中を維持できない」とは?

 オバマはこの前の文で、「テロリストが核兵器を入手する危険を抑制するためのわれわれの努力においては、世界的な核兵器の不拡散体制が中心的存在になる」と言っている。核兵器を拡散させない体制づくりが、核兵器問題のまさに「中核」なのである。
 centerはご存じのとおり、「中央、中心」。もとの意味は「円の中心点」で、「中心の部分」でなく厳密に「ど真ん中」である。ここでは比喩的に「まさに中心的存在」であることを、視覚的・図形的なイメージでうまく伝えている。
 ちなみにcenterは動詞として「~を集中する、注目が集まる」の意味でも使える。たとえば、Their interest were centered on her new idea.と言えば、「彼らの興味は、彼女が出した新しいアイデアに集中した」ということ。