作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(20)核廃絶演説から


■■■common■■■  commonは「お互いのために役に立つ」こと

われわれに共通の安全を保障するためには、同盟を強化しなければなりません。
To provide for our common security, we must strengthen our alliance.

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この演説をプラハで行った意味

 オバマの演説ではWe can change.をはじめとしてweが多用される。行動の主役はオバマではなく、聴衆を含めた「みんな」であることを伝え、心理的に聞き手を巻き込んで、夢や責務を共有していくスタイルである。このプラハでの演説も同様だが、さらにcommon「共通の」という言葉が何度も出てくる。この例文にある「共通の安全」のほか、「共通の歴史(common history)」「共通の利益(common interest)」など、計8回に及んでいる。
 commonの語源は、com(ともに)mon(役立つ)、つまり「お互いのために役に立つ」が原義である。アメリカとチェコは、かつては東西に分かれ対立する立場だった。しかし、「ともに自由を求め、ここに集う日を信じた歴史と価値観は共有されている。ともに発展し、安全で豊かな世界を望む気持ちも同じである」と、オバマは互いの近さを強調し、協力の必要性を説くのである。核廃絶演説を、かつては東側の陣営にいたチェコで行ったことに深い意味がある。


■■■share■■■  shareは「同じ分け前をもつ」イメージ

われわれは、共通の価値観と共通の歴史とによって一つに結ばれています。
We are bound by shared values and shared history.

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お互いのつながりを強調する

 冷戦が終結し、チェコがNATOに加盟してからこの演説が行われた2009年でちょうど10年。いまや、どちらが攻撃されても互いに助け合う間柄である。
 shareは「他人と共有する、分け合う」の意味だが、もとは「分け前」のことで、同じものをともに持つことを表す。We share values.は、前項で解説したcommonを使ってWe have common values.とも言い換えられるが、語数が少なく動詞でイメージを伝えられる分、より直接的に訴える表現と言える。また、このshareもこの演説で多用され(6回)、commonとタッグを組んで「共有してつながっている」ことを強く聞き手に印象づけている。
 ちなみにヴァンスは「パワー英単語」で、shareを「伝える」の意味で使うと、ビジネス・プロフェッショナルとして有効な表現であるとしている。
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 ここでの「分け前」は「情報」である。