作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(18)核廃絶演説から

●核廃絶演説
speech in Prague: a world without nuclear weapons
2009.04.05


■■■divide■■■  divideの反対語はunite

私が生まれた頃、世界は分裂していました。
When I was born, the world was divided.

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分裂から統合へのシナリオ

 オバマは1961年(ケネディ暗殺の2年前)、ハワイに生まれた。冷戦の緊張が高まっていた頃で、翌1962年には、人々が「第三次世界大戦勃発か」と固唾をのんだキューバ危機が起きている。たしかに世界は、資本主義と社会主義、アメリカ側と旧ソ連側のまっぷたつに分裂し、一触即発の状態だった。
 この演説の冒頭、感謝の挨拶を終えたあと、オバマは左ページの言葉から本題に入った。そのあとも、分裂に関わる表現がたびたび出てくる。「ベルリンの壁(wall)のどちら側に住んでいようと」、「国境(border)を越えて」、「違うと決めつけてしまえば溝(gulf)は広がる」などなど。
 divideの反対語はunite(一つにする、団結させる)だ。オバマは、過去から現在に至る「分裂」を意識して取り上げ、「divideからuniteへの方向転換」を印象づける。かつては対立した二つの世界が一つになって核廃絶に向け協力するという、まさに夢のような理想の実現を説くのが、この演説である。
 
 
■■■courage■■■  courageは「行動力よりも精神的な強さ」

私たちがいまここにいるのは、「自由はすべての人々の権利なのだ」と危険を冒して声を上げた人々の勇気のおかげです。
We're here because of the courage of those who took risks to say that freedom is a right for all people.

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心からの敬意が人々を感動させた

 オバマはここで We're here because... を4回繰り返す。1回目は「世界は変わらないという声に耳を傾けなかった人々のおかげ」。2回目がここに挙げた「自由のために声を上げた人々のおかげ」。3回目は自由化を求め始めた旧チェコスロバキアを旧ソ連が弾圧した「プラハの春(1969年)のおかげ」。
 そして、最後は大きな流血沙汰もなく共産党一党体制を1週間で崩壊させた「ビロード革命(1989年)のおかげ」である。語られる人々の枠が、徐々に絞り込まれていって、最後はオバマの目の前にいるプラハの聴衆にピタリと焦点が合う、という見事なシナリオである(ズームアップ効果)。
 courageは「勇気」だが、行動力よりも精神的な強さを表す。かつて自由を求めながら軍事介入により抑圧され、困難に耐えて自由と民主主義の春を待った人々は、courageというオバマの言葉によって大きくプライドを満たされたはずだ。単にスピーチを聴いてもらうためだけのリップサービスではない、心からの敬意が人々を感動させるのである。