作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(16)大統領就任演説から


■■■chapter■■■  chapter(章)には、かならず終わりがある

われわれはそうした暗い時期から抜け出て、より強くなり、より結束を固めたのです。
We have emerged from that dark chapter stronger and more united.

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大丈夫、今度もできる!

 言うまでもなく、chapterは「章」であるが、ここでいうdark chapterは、dark periodあるいはdark era(暗い時期)と言い換えることができる。しかし、chapterにはかならず終わりがある。そして終わればかならず次の章が来る。状況が暗くて厳しい時、これはとても勇気づけられることだ。物語には永遠に続きがあるのである。
 しかもオバマは、その暗い時代からすでに抜け出ている(We have emerged)ことを強調する。ブッシュからオバマが政権を引き継いだこの時、アメリカの輝きは消え入らんばかりだった。「しかし、南北戦争や人種隔離の暗い時代だって抜けてきたのだ、今度だってやれる」というメッセージが力強く込められている。
 仕事がうまくいっていない時、オバマにならってwe are emerging from...という表現を使うことができるが、それに伴う具体的な方策がないと、ただの楽観主義者になってしまう。注意しなくてはならない。


■■■tell■■■  tellは「相手がわかるように語りかける」

彼らは私たちに語りかけます。ちょうど、アーリントン墓地に眠る亡き英雄たちが時代を超えてささやきかけてくれるように。
They have something to tell us, just as the fallen heroes who lie in Arlington whisper through the ages.

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彼らは遠くにいても語りかけてくる

 tellは「言う、話す」だが、相手がわかるように「語りかける」、そして「物語る」というイメージがある。言葉を発することや発言すること自体に重点があるsayやspeakと微妙に違うのだ。
 ここでのtheyは、「はるかな砂漠や遠くの山々で、いまこの瞬間もパトロールを続ける勇敢なアメリカ人たち」のことを指す。彼らの声は決して大きくない。けれども耳をすませばそのささやきは確実に聞こえると、オバマは言うのである。なぜなら、彼らは遠くにあっても、常に「語りかけてくる」からだ。
 オバマは武力やその行使と、身を挺してアメリカのために戦う人々を峻別して、後者をおとしめるようなことは決して言わない。それは彼らが、「自分よりも大きい何かに意味を探そうとする姿勢(a willingness to find meaning in something greater than themselves)」を常に教えてくれるからなのだ。