作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(13)大統領就任演説から

●大統領就任演説
Inaugural Address 2009.01.20


■■■ideal■■■  idealは「最後の努力目標」

われわれはずっと、祖先の理想に忠実でありました。
we have remained faithful to the ideals of our forebears.

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理想を共有すると強くなれる!

 アメリカ建国者の理想について、前年の大統領選勝利宣言でオバマは次のように語っている。
 our ideals: democracy, liberty, opportunity, and unyielding hope.
 (われわれの理想は、民主主義、自由、機会の平等、何にも屈することのない希望である)
 ここで、「理想に忠実だった」というのは、「これらを理想としてかかげ、それをかなえるよう努力してきた」ということ。リーダーが有能だったからでなく、こうした理想を国民の全員が大事にしてきたからこそ、アメリカは困難を乗り越えてきたのだ、とオバマは言う。
 idealは「理想」と訳されることが多いが、「最後の努力目標」という意味を含む。いつか実現すると信じ、しっかり見据えてそれに向かって進むべき目標である。オバマは頭のなかだけのidealist(理想主義者)ではない。むしろidealをもったrealist(現実主義者)と言うべきだろう。


■■■face■■■  faceは「逃げずに立ち向かう」

あらためて言うが、われわれが立ち向かう試練は本物です。
I say to you that the challenges we face are real.

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状況と決意を同時に表すパワー単語

 faceには、単に「直面して」いるだけでなく、危機や困難にしっかり顔を向けて立ち向かっていく、というポジティブなニュアンスがある。はしがきで紹介したドクター・ヴァンスは、この単語を「パワー英単語」のLevel 1に入れている。
 オバマはここで、みんなで向かい風を顔に受けながら、逃げることなく進んでいくイメージを伝える必要があった。なぜなら、アメリカの問題は山積み、そのどれもひと筋縄ではいかないからである。
 the challenge we haveと表すと「試練がそこにある」ことしか伝えないが、the challenge we faceと言うと、その試練にどういう姿勢でのぞむかまで伝えることができる。
 We are facing the serious fact.(私たちは深刻な事態に直面しています)と言えば、事態が深刻であることと同時に、すでに戦う覚悟はできていることを示している。