作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(12)勝利宣言から


■■■first■■■  firstは「初めてのこと/もの」と名詞でも使える

この選挙では、たくさんの「史上初」があり、何十年にもわたって語り継がれるであろうたくさんの物語がありました。
This election had many firsts and many stories that will be told for generations.

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初めてづくしの選挙

 たしかにオバマの勝利にはたくさんの「初めて物語」があった。少額の個人献金が寄せられて大きな資金源になったし、多数のボランティアの若者が選挙運動で働いた。それは政治に無関心だった若者世代や貧困層の関心を呼び起こし、それまで投票に行ったことのない人々を選挙に引き寄せた。選挙戦の過程自体が、「ブッシュとは違う」「ほんとうに何かが変わろうとしている」と思わせる出来事だったのである。
 firstは形容詞や副詞として使われることが多いが、ここでは名詞「初めてのこと/もの」として使われている。This election had many first things.というよりも直接的で、「初めて」であることをストレートに印象づけている。
 ちなみにfamous firstsと言えば「有名な初めてのもの/こと」、firsts for our companyは「わが社で初めて何かを成し遂げた話」の意味である。


■■■can■■■  canは、can'tとの対比で効果を増す

私は、彼女が見てきたすべてのことを思います。そんなことはできないと言われ続けた時間のことを。そう、いま私たちにはできるのです。
I think about all that she's seen; the times we were told that we can't:  Yes we can.

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「できない」時代から「できる」時代に

 この選挙を通じて数多く起きた「初めて物語」の中でもとくに印象に残っていることとして、オバマはアトランタで投票した106歳のクーパーさんという黒人女性について語り始める。
 彼女が生まれたのはリンカーンが奴隷解放宣言をしてからわずか40年後。当時、女性は投票できなかった。黒人も投票できなかった。投票だけでなく、彼女が「当然のこととして」できなかったことはたくさんあった。けれどもいまは違う。Yes we can.「私たちはできる」の時代が来たのだ。
 Yes we canはオバマの勝利で最も有名になったフレーズだが、オバマは「できる」の前に、「できなかった」あるいは「できないと思っていた」ことを具体的に挙げて、「できる」ことが人々に与えるインパクトを際立たせる。
 「can't」があればこその「can」なのである。