作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(11)勝利宣言から


■■■destiny■■■  destinyは「輝かしいイメージをもつ運命」

私たちにはそれぞれ自分の物語があります。けれども、運命はともにしているのです。
Our stories are singular, but our destiny is shared.

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後ろ向きの運命と前向きの運命

 大統領選に勝利して聴衆の前に立ったオバマの視野に入っているのは、アメリカの人々だけではない。「はるか遠くの地からその夜の様子を見つめている(watching tonight from beyond our shores)人々」、「忘れられた世界の片隅で(forgotten corners of our world)ラジオのまわりに集まって身体を寄せ合っている人々」にも語りかけたのが、左ページの言葉だ。自分の居場所を「忘れられた世界の片隅」と思う人はいないかもしれないが、our destinyという言い方は、やんわりと全世界をカバーしている。
 「運命」を表す語には、destinyのほかにfateがある。どちらも「避けがたく人を支配する力」だが、fateは死や不運なども含むのに対し、destinyは明るい意味で使われることが多い。だから、our destinyと言われたとき、人々にはそれがどこか輝かしいイメージとして伝わるのである。
 運命には、後ろ向きの運命と前向きの運命がある、ということだ。


■■■hand■■■  at handは「まさに手が届きそうなくらい近く」

アメリカの新しいリーダーシップの夜明けは、もうすぐそこまで来ています。
A new dawn of American leadership is at hand.

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すぐそこにあるから、がんばれる!

 いくらそれがよいものであっても、遠いところにあるものに人は希望を託せない。マラソンでもゴールが近いとわかると最後の力を振り絞れると言うが、「もうすぐだ」と思えば人はがんばれるものだ。
 オバマは、すべてがよい方向へ進むその歩みがいま始まろうとしていると、人々に力と希望を与えて励ます。まさに「やる気にさせるリーダー」ぶりが発揮されていると言える。
 at handは「すぐそこにある」の意味。身体を使った典型的な表現の一つで、まさに手が届きそうなイメージを伝える。
 ちなみに、handは「自分の力、守備範囲」のような意味として、比喩的な身体表現によく使われる。extend (helping) hand to ~は「援助の手を~にさしのべる」、hand in handは「ともに協力して」、out of handは「(混乱して)収拾がつかない」ということ。