作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(9)勝利宣言から


■■■challenge■■■ challengeは「覚悟をもって取り組む難題」

明日向き合うのは、我々の時代にあって最大の困難な試練になります。
The challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime.

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同じ試練でもとらえ方で変わる

 左ページの例文は、直訳すると、「明日という日が持ってくる試練は......」となる。望むと望まざるとにかかわらず、「試練」はやってくる。戦争しかり、環境問題しかり、経済危機しかり......。
 challengeには「課題、難題」などの意味があって、これから向き合う問題が手強いことを示している。しかし、オバマはそれを決してdifficultyとは言わない。with difficultyが「苦労して」であることからもわかるように、difficultyには苦しいネガティブなイメージがある。それに対してchallengeには、覚悟を決めて取り組み、やりがいを感じるようなポジティブなニュアンスがある。
 同じ意図で、hurdleという単語を使う場合もある。こちらも「越えていく」ことが前提である。たとえば、 We have enough technology to clear the next hurdle.といえば、「我々には次なる課題を乗り越えるのに十分な技術がある」。


■■■get■■■ getは「歩いていってたどり着く」イメージ

我々は1年かけても、大統領の一期をかけてもたどりつけないかもしれない。
We may not get there in one year or even one term.

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ケネディの就任演説を意識して

 ケネディはその就任演説でこう言った。「これらすべてのことを、100日かけても、1000日かけても、達成するのはむずかしいでしょう。我々が生きている間に成し遂げることもできないかもしれません。でも、始めようではありませんか」。
 左ページの言葉は、明らかにケネディのこの言葉をふまえたもの。さらにオバマはこう続ける。
 I promise you ― we as a people will get there.
 (私は約束します。私たちは一つになって、かならずたどり着きます)
 ケネディが「達成する(finish)」と言ったところを、オバマは「たどり着く(get there)」と言っている。
 「この先の道のりは長い。道は険しい(The road ahead will be long.  Our climb will be steep.)」。しかし、確実な歩みの先にかならずゴールがあるとオバマは信じている。そのことを、人々はgetという動詞から感じとったはずだ。