作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(7)勝利宣言から

●2008年大統領選勝利宣言 
2008.11.4 Victory Speech


■■■doubt■■■ doubtは「そうとは信じがたい」

もし、アメリカではすべてのことが可能なのだということを疑う人がまだいたら......。
If there is anyone out there who still doubts that America is a place where all things are possible ......

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疑問を投げかけて聴衆の心をつかむ

 演説の冒頭からオバマは「もしも......を疑う人がいたら」というフレーズを重ねて、人々の心に切り込んでいく。左ページの文に続く「建国者たちの夢がいまも生きていることを疑う人がいたら」ではwonder、「民主主義の力に疑問を抱く人がいたら」ではquestionと動詞を変えながら。
 3つの動詞を比べると、doubtは「何でも可能だなんて信じがたい」と疑う気持ち。wonderは「建国者の夢が生きているなど、もう夢でしかないのかも......」と不安であいまいな感じ。questionは「実は民主主義に力なんてないんじゃないか?」と真実なのか疑う気持ち、と少しずつニュアンスが違う。
 演説の最後にもdoubtが登場し、アメリカの力を信じることを説いて勝利演説を締めくくっている。
 where we are met with doubt, and those who tell us that we can't, we will respond: Yes we can.
 (疑いを持つ人、われわれにはできないと言う人に会ったら、こう答えましょう。Yes we can.)


■■■answer■■■ answerは最も一般的・日常的な「答え」

今日がそうした人々への答えです。
Tonight is your answer.

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answerという日常語に託した重い意味

 前項で示した「疑問のオンパレード」への答えは、ほかでもない「今日この日のこの場」である、とオバマは宣言する。
 人々が、移民の子でしかも黒人のオバマを大統領候補に選んだこと、共和党のマケインを打ち破って勝利の舞台に立たせたこと、この一連の歴史的事実が、すべての疑問への答えだと言うのである。
 そしてオバマはそれがどんな「答え」なのかを、より鮮明にしていく。「投票を待って長蛇の列をつくった人々が出したものであり、3時間も4時間も待って生まれて初めて投票した人々によるものである」と。さらに、「年齢も性別も肌の色も党派も、同性愛者や障害者かどうかも越えて、アメリカが一つであることを世界に伝えたのだ」と。
 今日は合衆国の新しい歴史がつくられた日なのだ。そして、歴史をつくったのは、ここに集った人々であり、オバマを応援したすべての人々だったのだ。
会場のボルテージは早くも最高潮に達した。