作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(5)民主党大会基調演説から

■■■one■■■ oneはこのスピーチの中心テーマ

われわれ一人一人が一つの国民としてつながっているという信念。
A belief that we are all connected as one people.

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多数が結束して一つになる

 民主党から出馬した大統領候補、ジョン・ケリーの政治的信念に触れた一節である。
 oneは、この民主党大会でのオバマの演説の中心テーマとも言える。党派間の争いや経済格差でバラバラになったアメリカ人を、同じ国旗のもとに集う仲間として一つにまとめ、結束して国家の危機に立ち向かうよう促している。
 このあとに出てくる 
 "E pluribus unum,"out of many, one.
 (多数から始まって一つになる)
は、アメリカのモットーと言えるもので、パスポートに印刷されている国章のワシは、この言葉が書かれた布をくわえている。
 たとえ自分の家族でなくても、同じアメリカ国民である以上、人々の苦しみから目をそらさない。それがジョン・ケリーの生き方なのだ、とオバマは訴えるのである。


■■■matter■■■ あえてmatterを肯定文で使って重要性を強調する

もしも文字を読めない子どもがいたら、それが自分の子どもでなくても、私にとって大事な問題です。
If there's a child who can't read, that matters to me, even if it's not my child.

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オバマの政治的な覚悟がうかがえる

 matterという動詞は「誰々にとって重要である」という意味だが、ふつうは否定文や疑問文で使われることが多い。
 たとえば、It doesn't matter. は「たいしたことはない」、That doesn't your matter. は「君には関係ないことだ」、What does it matter? は「そんなことたいしたことじゃないよ」といった具合である。
 だからこそ、ここでのオバマの表現が生きてくる。つまり、通常は否定文や疑問文で使う言葉をあえて肯定文で使うことによって、人が「自分には関係ない」と思ってしまいそうなことを「そうじゃない。この私にとっては重要なことなのだ」と訴えているのである。国民一人一人の問題について、それがあたかもすべて自分の問題であるかのように対処しようとするオバマの政治的な覚悟がうかがえる。