作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

オバマ的英単語(1)民主党大会基調演説から

●民主党大会基調演説
the keynote address at the Democratic National Convention
2004.07.27


■■■dream■■■ dreamは不可能を可能にする

祖父は、父にもっと大きな夢をかけていました。
My grandfather had larger dreams for his son.

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      オバマ自身が壮大な夢の体現者だった!

 ここで語られるオバマのケニア人の祖父は、イギリス人に仕える料理人だった。彼は息子に夢を託してアフリカからアメリカに移住させ、教育を受けさせた。まさか異国の地に生まれた孫が大統領になるとは、夢にも思っていなかっただろう。だがそれは、祖父が息子に託した夢の結実にほかならなかった。
 dreamという言葉は、すべてのアメリカ人の脳裏に、キング牧師のあの歴史的な演説"I have a dream"の感動を呼び起こす。「夢を持たなければ、それを実現することは不可能である」と説いたのはディズニーだった。
 アメリカの政界でほとんど無名だったオバマは、当時国会議員でもなく、イリノイ州議会の新人議員にすぎなかった。しかし、彼自身が大陸を股にかけた壮大なdreamの体現者であると宣言することにより、民主党大会に詰めかけた聴衆のみならず、すべてのアメリカ人に強烈な印象を与えることに成功したのである。


■■■magical■■■ magical placeは夢を実現する場所

父は魔法の国アメリカで勉強するための奨学金を得ました。
My father got a scholarship to study in a magical place.

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      聞き手の心を溶かすオバマの魔法

 移民の子が国家のリーダーになるなどということは、日本ではまず考えられない。それを可能にしたアメリカは、やはり魔法の国というしかない。
 だが、いまだに残る人種的偏見やますます拡大する貧富の差を目の当たりにするとき、自国を「魔法の国」と言いきれるアメリカ人がどれほどいるだろう。しかし、オバマには言える。なぜなら、オバマにとってアメリカは自分の国であると同時に、半ば他人の国でもあるからだ。
 新参者のオバマに「魔法の国」と言われて、多くのアメリカ人はハッと我に返り、あらためて自国を誇らしく思う。聴衆をほめていい気持ちにさせるのは、スピーチに耳を傾けポジティブに受け止めてもらう最大の近道だ。こんな言葉一つの選択にも、その工夫が見えるのである。こういう言葉を政治の世界で使ってしまうところが、スピーチの名手たるゆえんだろう。オバマのスピーチ自体がmagicalな力を秘めている。