作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

1分で読めるオバマ5大演説(5)ノーベル平和賞受賞演説

●1分で読める「ノーベル平和賞受賞演説」

 私はこの栄誉を深い感謝とともに謹んでお受けする。私が受賞するにあたって、論議があったことは承知している。私はこの職についてまだ日が浅く、大きな成果を上げていないし、現在二つの戦争を遂行中の国の軍総司令官だ。私よりもこの賞にふさわしい人々がたくさんいるのも承知している。だからこそ、私は戦争を平和に置き換える努力についての難問を持ってここにやってきた。
 戦争は人類の歴史とともにずっと存在してきた。戦争を法で制御しようという試みから、「正当な戦争」という考え方が生まれた。第二次世界大戦には「正当な戦争」という側面もあったが、戦闘員よりも一般人の死傷者のほうが多い悲惨な戦いとなった。
 核兵器の発明により、世界はこれ以上の世界大戦を防止する制度が必要であると認め、国際連合や様々な条約によって、現在は世界規模の戦争の危機は薄れてきている。しかし、内紛やテロは減らず、核兵器の拡散が深刻な状態を生んでいる。
 たしかに戦争を防止する機構は世界を安定に近づけたが、アメリカもまた、自国の兵士の命の犠牲によって、世界の安全保障に尽くしてきた。戦争は時として平和を維持する上での役割を担うが、人間の愚かさの表れでもあるという相反する二つの事実、これを調和することが我々の一つの課題だ。   
 私は、人道的見地に基づく武力行使は正当化され得ると信ずる。武力を必要とする場所では一定の行動規範に従うことに、倫理的、戦略的価値を見出す。
 恒久的な平和を築く三つの方法について話そう。第一に、規範や法を破る国家に対しては、世界が一つに結束して圧力を与えることが必要だ。第二の点は、我々が求める平和の本質という問題だ。あらゆる個人が生来有する権利と尊厳に基づく平和のみが真に持続しうるだろう。第三に、公民権、政治的権利だけでなく経済的な安全と機会を持つべきである。真の平和は恐怖からの自由であるのみならず、窮乏からの自由でもあるからだ。
 かつてガンジーやキング牧師が語ったような人間の進化に対する信念を、我々は持ち続けなくてはならない。今後も戦争が起こることはあるだろうが、それでも平和を追求することはできる。それこそが人間の進歩の物語であり、この試練の時に我々がなすべき仕事なのである。