作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

【ミニコラム⑲】 食べない勇気・食べる勇気

 いかに卑近な話題でも、立派に名句に仕立て上げる人がいます。まずは、ピーナツの名句というのをお目にかけましょう。
「この世でいちばん勇気があるのは、ピーナツをひとつだけ食べて、そこでやめられる男だ」。米国の劇作家、チャニング・ポロックの一句です。
 私など、ピーナツを二十個食べたところでやめる勇気もないので、この洞察力には完璧に脱帽です。
 勇気と言えば、英語の古いことわざに、こんなのがあります。「最初にカキを食べた男は、勇気があった!」
 人間ほど悪食の動物もいないと思いますが、どんな奇っ怪な食べ物も、最初におっかなびっくり試食した人がいると思うと、大いに笑えます。こんなにユーモラスなことわざは滅多にありません。
 勇気に関連したことわざには、「最初に進んで氷の上に乗る者はいない」というのもあります。ならば、こうも言えそうです。
「最後に氷の上に乗る者は、勇気がいる」。十人が乗ったとしても、自分が乗ったところで割れない保証はどこにもないからです。十人が乗ったからこそ危ない、と思う私は臆病者でしょうか。