作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

【ミニコラム⑯】 答えが大事か、問いが大事か

 高校生の時、物理の教科書に失望したことがあります。「万物には引力が働いている」という万有引力の説明を読んだ時です。「なぜ万物には引力が働くのだろう?」という強烈な疑問がわき、その答えを探しましたが、教科書にはそれについてはひとことも書いてありませんでした。
 「問い」と「答え」について、フランスの思想家ボルテールは、次のような言葉を残しています。「人間は、その答えではなく、問いによって判断しろ」
 人々はとかく「答え」のほうに注意を向けがちです。しかし、ボルテールによれば、いかなる「問い」を発するかが大事なのです。「答え」ばかりが羅列してある教科書に、高校生のわたしは失望したのです。
 英国の小説家、G・K・チェスタートンがこんなことを言っています。
「彼らは解決策がわからないのではない。そもそも問題がわかっていないのだ」
 世の中は、問題のありかを確かめずに行なわれる無益な議論に満ちているように思います。
 自動車エンジンのスターターを発明した米国の発明家、C・F・ケッタリングの次の言葉も印象的です。「問題をきちんと言い表せたら、もう半分解決したようなもんさ」。