作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

【ミニコラム⑨】 目玉のこちら側

 わたしの好きな英語のことわざに、こういうのがあります。「もしも道が間違っていたら、走ったとて何の役に立つか」。
 世の中には、速く走ることに情熱を傾けている人がいます。しかし、もしも走る方向が間違っていたら、むしろ速く走ることが仇となるのです。たとえば、それが高速道路の場合、目的地をよく確かめずに飛ばしていると、思ってもみない場所に行き着く可能性があります。おまけに、そこでガソリンを使い果たしたりすると、帰るにも帰れない!
 アメリカの政治学者、ヘンリー・キッシンジャーが、先のことわざをこんなふうに言い換えています。「自分の目的地がわかっていないと、どの道を通ろうと、どこにも行き着きはしない」。
 方法や手段にばかりこだわっていると、肝心の目的を忘れてしまう。これはよくあることです。逆に、目的地がはっきりしていれば、多少の回り道くらい何でもありません。
 「人生の目的」に関して、こんな名言を吐いた人もいます。「人生の目的は、目的のある人生を送ることである」。うまいことを言うものですね。
 よく自分探しの旅に出る人がいますが、わたしの考えでは、どんなに遠くに行こうと、常に目玉のこちら側にいるのが自分だと思うのですが......。