作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

ふたつの時計の法則

新刊書『英文法練習帳』の「あとがき」から一部を抜粋します。

■ふたつの時計の法則
 数年前に出した『すごい言葉』という本の「さまざまな法則」の章で、私は次のような"法則"を紹介しました。題して「ふたつの時計の法則」――。

「時計をひとつ持っていれば何時かわかる。時計をふたつ持っていると、わからなくなる」(A man with a watch knows what time it is. A man with two watches is never sure.)

 「こんなの法則か?」と思う人もいるでしょうが、言われてみると妙に納得してしまいますよね。
 法則というと厳密な科学法則を思い浮かべる人が多いと思いますが、世の中には「ふたつの時計の法則」のような隠れた法則(経験則)がたくさんあります。

 本書でご紹介した60個の法則の中には、どの文法書にも認められた(科学法則に近い)厳密な法則もあれば、私が"発明"したオリジナルな法則もあります。
 「法則」という言葉を見て「大袈裟だなぁ」と思った人も、ぜひ「ふたつの時計の法則」を見て、肩に入った力を抜いてください。200以上見つけた法則をふるいにかけて、皆さんの学習に本当に役立つ法則を60に厳選した結果がこの本なのです。

■なぜ「3の法則」なのか?
 では次に、なぜ2でも4でもなく、「3の法則」なのかについて、お話ししましょう。
 唐突ですが、ここで椅子の形を思い浮かべてください。脚が1本しかない椅子は立つはずがありません(よほど太い脚なら別ですが)。脚が2本でも立ちませ んね。では、脚の数を増やして4本にしてみましょう。今度は、4本の脚の長さがぴったり同じでないとガタガタしてしまいます。
 ところが脚が3本だとどうでしょう。しっかり立ってガタガタしません。たとえ脚の長さが多少不揃いでも、絶対にガタガタしないのが3本脚の椅子なのです。
 このように、3という数は非常に安定のいい数です。ものを覚える時も、1つや2つだと心もとなく、4つ、5つになると今度は多すぎて記憶が大変です。ところが、3という数は覚えるのにちょうどいい数なのです。
 そのため、昔から、仏教では「仏法僧の三宝」とか「貪瞋痴の三毒」、キリスト教では「神と子と聖霊の三位一体」、神道では「三種の神器」などと、3とい う数が珍重されてきました。われわれの周りにも「日本三景」とか「三大テノール」とか「三大新聞」とか「ビッグスリー」などと、何かと3という数が話題に 上ります。
 こうして、私は複雑怪奇な英文法のモヤモヤを、すべて「3の法則」で整理すると格段に覚えやすくなる(忘れにくくなる)と思いついたのです。その効果のほどは、もう十分ご体験いただけたと思います。