作家・英語教育研究家 晴山陽一オフィシャルサイト

名演説の英単語―オバマを勝たせた言葉の力 (成美文庫)

■ はじめに ■  (抜粋)

 2004年の民主党大会で、大統領候補のジョン・ケリーの応援演説をしたとき、オバマは地方議会の一議員にすぎなかった。それが、4か月後には連邦上院議員に当選し、4年後には大統領選挙に勝利した。当初は民主党の候補になることすら難しいと思われていたのに、怒涛の勢いで共和党のマケイン候補を圧倒したのである。オバマが史上初の黒人大統領であったことは、いまさら言うまでもないだろう。
 オバマはこのような一連の奇跡を可能にしたアメリカという国を、マジカル・プレイス(魔法の場所)と呼んでいるが、オバマ自身に奇跡を起こす潜在的な力があったことは疑いようがない。それは、彼がスピーチの中で用いた周到な言語戦略にもっとも端的に表れているというのが、私の考えである。


 

 
 

 本書では、オバマが5大演説の中で駆使した65のマジック・ワードを通して、彼が果たした「奇跡」の軌跡をたどってみようと思う。「5大演説」とは、次の5つである。


 ①民主党大会基調演説(2004年7月、ボストン)
 ②大統領選勝利演説(2008年11月、シカゴ)
 ③就任演説(2009年1月、ワシントンDC)
 ④核廃絶演説(2009年4月、プラハ)
 ⑤ノーベル平和賞受賞演説(2010年1月、オスロ